エスパーになりたい

「職業欄はエスパー」(森達也)を読み終わる。
森さんは三人のエスパーを追って行く。
淡々と彼らの後を追いながら話しは進んでゆく。


途中、スプーンが曲がったり、未来を予言したり、いろいろと怒るのだが、森さんはああかも知れない、こうかもしれないと超能力ではない可能性を検討しつつ、やっぱり、理屈では説明できないとわかりつつ、態度を保留し続ける。超能力を信じるとも言わず、信じないとも言わずグズグズと話は進んで行く。


結局最後まで結論は出ない。
だからこの本が退屈で面白くないわけではない。少なくとも僕は凄く面白い本だと思う。メディアでは常に無視されがちな人間の「曖昧さ」みたいなものが、素直に出ているからだ。


メディア、特にテレビ番組とかだと、常に解りやすい事が求められている気がする。結末のないドラマはないし、正解のないクイズもない、でも、僕らの実際の生活はもっと地味で、曖昧で、解りにくいものだと思う。


この本では、そういう日常の曖昧な感じが全体からしみ出していて、すごくいいな〜と僕は思ってしまう。