黒澤映画はすごいな〜

「乱」を見ました。スゴイ映画です。

何と言うか、「人っこういうもんなんだよね。」と見終わって一人で悶々としていました。はじめは一国の主である偉大な父親と彼を慕う3人の息子が、二時間半の間に4人全員が死に国が滅びます。多分その過程で、わけなわからない大災害とか、殺し屋異星人とか、世界制覇をもくろむ秘密結社とか、それに準ずる極悪人、といった要素が加わっていればよくある映画で終わってしまうわけです。


でもこの映画の凄いところは、「こんなこと言われたら頭にくるよね」とか「そりゃ、泣きたくもなるよ」みたいなごく自然な感情の起伏によって物語が展開して行くところです。だから展開が自然でとても解りやすい、自然で解りやすい展開なのに結果は予想外でとても凄惨でいつの間にかみんな死んでしまう。


随分前に読んだので記憶があやふやですが、「敗者の戦後」という本があってそこで、第一次世界大戦の全面的な戦争に至る過程が書かれていました。そこでショックだったのは、当時の指導者たちは全員、戦闘が拡大してゆくとは予想していなかった。多分、そろそろ終わるだろうとズルズルしている間に、結局、流行病を含め2千万人以上のひとが死んだというところです。この話と乱の物語の展開はよくにているような気がします。だれも望んでいなかったはずなのにいつの間にか、だれも予想しなかったような悲惨な結末をむかえる。そう考えると僕は「人っこういうもんなんだよね。」と見終わって一人で悶々とするしかないわけです。(乱の場合は望んでいた人がいたわけですが)


2006年も少しづつ書き続けようと思います。
よろしくお願い致します。