縮尺と倍尺

ビックサイトにグットデザイン賞の展示を見に行った。
これまで見に行った事はなかったが、なかなか盛りだくさんの内容で十分楽しめた。


展示された物の中でどれくらいが実際にGマークに認定されるのかは解らないが、やっぱり展示品の中にもレベルの差があるような気がした。簡単に言うといいデザインのモノは細部までピシッとしているがだめなやつはパッと見はよくても、よくよくみると細部がブヨブヨしている気がする。そしてそのブヨブヨ感は建築のブースに多かったように思う。


建築の世界は縮尺でつくられるが、工業製品は実寸を超えた倍尺で作られている。ある意味で建築の図面は、倍尺の世界で作られた工業製品をいかにレイアウトするかと言うレイアウト図のかもしれない。そのレイアウト図の精度がいいがげんで、倍尺の世界でつくられて部品たちと釣り合っていないとそれがブヨブヨしているように見えるのではないだろうか。


かつて「細部のディテールが全体を変えてゆくような建築をつくりたい」と言った建築家がいた。当たり前の事かもしれないけれど、ディテールのしっかりした物をつくりたい。それは、できるだけ使い方と使う人に忠実で、作者の意図なんてあんまり入っていない方がいいと思う。