つくられた桂離宮神話

井上章一の本はいつも切れ味がよい。
これまでなかば無意識に肯定してきたことをばっさりと切り落とす。
この本も、建築の世界の何となく桂離宮を否定できない雰囲気を見事に切っている。


確かに井上の文献調査は緻密である。
本書においても様々な角度から桂に対する分析が行われている。
ただ読み終わった後に何か創造的なモチベーションにつながるかと言うと
そうではない。
切り捨てた相手の屍を踏んで歩いてゆくような勇ましさはあるが、それはまた次の相手探しがはじまったに過ぎない。


決意を新たに戦略を練り直す。
自分の明るい未来を信じて100点