考えること

年末の忘年会のこと。何かの話の流れで「既存のビジネスモデル」という言葉を使った友人がいたのですが、僕は何だかその言葉がひっかかりました。その時は、なぜひっかかったのか自分でもよくわからなかったのですが、その理由を、小林秀雄さんが教えてくれました。


その忘年会から何日か後に、小林秀雄の講演CDを松本に向かう「あずさ」の中で聞きました。非常に素晴らしい内容でさすが批評の神様だとすっかり感心してしまったのですが、そのなかでも「考える」ことについて喋っている部分が印象的でした。


「考えるというのは自分が身をもって相手と交わるということです。」
「考えるということは付き合うという意味なんですよ。」
「ある対象をむこうに突き放してこっちで観察するという意味ではないんですよ。考えるということは対象と私とがある親密な関係に入り込むということなんです。」


うまく言葉にできないのですが、こういう話を聞くと、自分は考えていたようで、本当に考えていたのではなくて観察していただけなのかもしれないと思ってしまいます。そこで最初に戻ると、これまたうまく言葉にできませんが、忘年会の席で使われた「既存のビジネスモデル」という言葉は、どこかから切って貼っただけで、あまり考えられていない気がします。